簡易懸濁法勉強会

12月22日午後7時30分から開催されました。

この研修会については、日立薬剤師会学術部の安部先生(あべ調剤薬局)にご尽力いただきました、お疲れさまでした!感謝申し上げます。誰かが骨を折ることで様々な環境や知識が得られることを改めて認識して、次の行動につなげて行かなければならないのではないかとも感じた研修会でした。

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講師は大洗海岸病院薬剤部長の新井克明先生と群馬県済生会前橋病院薬剤部主任薬剤部長の秋山滋男先生です。お二人とも簡易懸濁法研究会で正式に認定を受けている数少ない講師の先生です。

http://plaza.umin.ac.jp/~kendaku/

内容は、まあ間違いなく勉強なりましたし、今後の薬剤師をとりまく環境では必須の技能と知識だと思います。

一部内容紹介( ´ ▽ ` )ノ

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実は細粒剤も懸濁にはなじまないものも多いのだそうですよ。細い経管を、とある細粒剤(錠剤の規格あり)やアルギン酸ナトリウムのシロップ剤(ドロドロで意味がある)を通せないことを実験で確認することができました。簡易懸濁法においては、安易に錠剤から細粒剤や散剤への変更をすることは服用を困難にさせることになることを確認しました。

私の経験では、錠剤を粉砕して欲しいという処方の場合、錠剤の嚥下が難しくなってきて、トロミをつけて飲み込むためというケースが多いので、味や粉砕による性状の変化を考えれば粉薬を選択できる場合はそれがベターになるケースもあります。しかし、簡易懸濁は経口の服用にも利用できるだろうな、という実感も得ました。

 

これはとある口腔内崩壊錠を懸濁したものです。ふたつのカップには同じ錠剤をいれて懸濁しました。

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右と左の違いは水の温度です、左は熱湯に近い温度の水で、右は常温に近いかなりぬるい水です。低温の方はうまく懸濁できていますが、左の高温で懸濁しようとしたものは凝固して沈殿してしまっています。これは錠剤の崩壊後に薬の主成分をコーティングしている添加剤が高温で溶けて固まってしまうためとのことです。OD錠の懸濁服用は簡単だと思っていたので目からうろこです。熱湯でなくても、通常の簡易懸濁法の水温の55℃でも起きる可能性があるそうですから知っておかねばなりません。

 

これは錠剤は青いレボドパ・カルビドパ配合錠を懸濁したものです。左のカップには、もう一種類とある錠剤も後からいれて懸濁してあります。

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想像はできるかと思いますが、後から入れた錠剤は酸化マグネシウムの錠剤です。薬剤は配合変化がおきたことで失効してしまいます。レボドパはアルカリ性下で酸化分解が促進されるため、酸化マグネシウムと混合すると効果が低下します。しかし、胃の中では胃酸で中和されるのでアルカリ性下に置かれることなく、内服で服用する場合はそんなに起きない現象だそうです。服用経路による配慮は当然しなければならくて、粉砕にも注意が必要で、また一包化調剤も気をつけなくてはならないと肝に銘じます。

 

衝撃! ある薬剤を懸濁して放置しておいたカップ(ポリスチレン性)が溶けてしまいました!

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この薬の正体は・・・

まあ研修に出た人にきいてください( ? _ ? )

べつに服用するのに危険なわけではありません、配合変化は薬剤の間だけで起こるわけではないのだという勉強をさせていただきました。

 

今回の研修会は内容も質もとても素晴らしいものでした。そして多くの方に参加いただきましたが、その期待に十分応えられる内容だったと思います。

重ね重ね準備から尽力された方々に感謝申し上げます。今後も知識と技能の向上のためにブラッシュアップできる研修会の実施を期待しています。そしてそれを実行していくためには地域の薬剤師個々人の協力が必要なことは言うまでもないと思います。