エピペンについて

学校薬剤師の活動で、教職員向けにエピペンの使用法と保管方法についてお話する機会をいただきました。

2012年に東京都で起きた給食後のアレルギー事故など、悲劇を繰り返さないために必要な知識と思われます。また、担当小学校において、低学年児童があらたにエピペンが処方されたことがきっかけで、全教職員が知識を習得することになりました。

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ファイザー製薬のガイドラインと動画を利用させていただきましたので、内容は既存のものにそってお話しました。それでも個人的に疑問を持ったことを事前に製薬会社に問い合わせをして、得心したことがいくつかありました。

 

ひとつは、エピペンは自己注射薬ですが、針の太さが22Gで、長さが13mmから15mmあることです。自己注射としてなじみがあるインスリンなどに使用される針は34Gで4mmなどですから、比べるとエピペンはだいぶ太くて長いことになります。皮下注射と筋肉注射の違いがありますので当然なのですが、注射時に痛みを感じることがありそうです(⌒-⌒; )

 

それから、保管方法にて、保存温度が15〜30℃とされていて、冷所保管(冷蔵庫など)はさけることになっている理由についても問い合わせました。添付文書記載の貯法は室温・遮光保存ですから、エピペン付属の遮光ケースに入れておけば1〜30℃の安定性は問題ないはずです。ならば高温をさけるために凍結をさけて冷所保管するのは好ましいようにも思われます(携帯時には保冷剤などを用いることが推奨されています)。

保存温度についてメーカーの答えは、アドレナリン注射液製剤は1〜30℃で承認を受けているが、エピペン注射器はプラスチック、ゴムなどの合成樹脂を多用しているので急激な温度変化に耐えないということでした。冷えている状態の注射器自体が温度変化で変形し誤作動を起こす可能性があるとのことです。また当然、薬剤自体も急激な温度変化が起きた場合正常な量の摂取ができなくなる可能性もあるわけです。メーカーとしては15〜30℃で保管されていない場合は正常な動作は保証できないとのことです。

インスリン製剤などは冷蔵庫から出して室温に慣らしてから使用開始することなりますが、エピペンの場合、使用時は悠長に室温に慣らすような時間はないでしょうから、最初から使用できる温度で保管すると考えれば腑に落ちます。例えばですけれど、10℃の室温などの環境に保管してしまっても、10℃の環境にて接種するのなら問題はないということになります。

学校で保管するときは室内の暖房や直射日光の当たらないところ、携帯するときは日の当たるところに長時間おかないこと、屋外なら日陰にて一時保管するということでよいのではないでしょうか。児童が登下校でエピペンを携帯する際、保冷剤や保冷容器などは使わなくても大丈夫と考えてよいでしょう。

 

この機会に、アレルギー、アナフィラキシー、ショック症状についておさらいして、対処法やエピペンの使用法を勉強できたことは良い経験にもなりました(^ ^)

 

小学校に行くと先生方と会うことで勉強になりますが、おもしろい子どもたちにもめぐり逢うので楽しいです。今日の午後は数人の中学生が小学校の前庭の芝生を利用して逆立ちの練習をしていました。話を聞くと中学校のサッカー部だそうで、中学校のグラウンドが使えない日なので自主練習です。

逆立ちで歩くことは部活の練習メニューだそうですが、なるほど、山砂が固まったグラウンドの上では手のひらが痛くなるだろうな、と思いました。

 

この逆立ち練習をすると、バランス能力が向上したりするのかね?ときいてみたのですが

 

こんなの根性がつくだけですよ!!

 

どうもルーチンメニューをちゃっちゃとこなして、サッカーをする時間を多くするために自主練習しているようでした。

なんと聡明なんでしょう!

自分の行動を愛することは素晴らしいです、サッカーのために逆立ち歩きをを習得する中学生たちから学ぶことは多いと思います。

大人は不条理・不合理なことを避けすぎではないでしょうか。とかく仕事にからむこととなると自分の利にならないことを忌避していると思います、自戒の念をこめて、無駄と思えることでも何でもやっておこうと思います。エピペンの使用法の習得だって、薬剤師会の会計業務だって、やっておけばいつか誰かの、自分の役にたつと信じて(^^;;

 

 

 

ともあれ、逆立ち歩きはまちがいなく身になるよ、少年。

 


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