仕事納め・休日診療所

昨年の大晦日も休日診療所の当番だったのですが、昨年はインフルエンザの大流行があり、とても混雑して休憩も取れないくらい忙しかったです。

なので、今年の大晦日も当番になり、恐る恐る出勤したのですが、今年はまだインフルエンザが流行しておらず、案外静かに1日が過ぎました(⌒-⌒; )

インフルエンザの患者さんはいませんでしたが、胃腸炎はおとなもこどもも多かったです。皆さま手洗いうがいを徹底して体調管理してくださいませ。

ともあれやっと今年の仕事納めとなり、ほっと一息です。来年からまたがんばりましょう!(明日からの当番の方、がんばってください)

本年中は会員の皆さま他、関係各所の方々のお力添えにより、日立薬剤師会のホームページを公開するにいたり、なんとか運営してきました。まだまだ至らないこともございますが、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。また、ご意見をお待ちしておりますのでお気軽にコメントやメールなどいただければ幸いと存じますm(_ _)m

皆さま、よいお年をお迎えください!

Have a Great New Year! 2016

 

簡易懸濁法勉強会

12月22日午後7時30分から開催されました。

この研修会については、日立薬剤師会学術部の安部先生(あべ調剤薬局)にご尽力いただきました、お疲れさまでした!感謝申し上げます。誰かが骨を折ることで様々な環境や知識が得られることを改めて認識して、次の行動につなげて行かなければならないのではないかとも感じた研修会でした。

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講師は大洗海岸病院薬剤部長の新井克明先生と群馬県済生会前橋病院薬剤部主任薬剤部長の秋山滋男先生です。お二人とも簡易懸濁法研究会で正式に認定を受けている数少ない講師の先生です。

http://plaza.umin.ac.jp/~kendaku/

内容は、まあ間違いなく勉強なりましたし、今後の薬剤師をとりまく環境では必須の技能と知識だと思います。

一部内容紹介( ´ ▽ ` )ノ

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実は細粒剤も懸濁にはなじまないものも多いのだそうですよ。細い経管を、とある細粒剤(錠剤の規格あり)やアルギン酸ナトリウムのシロップ剤(ドロドロで意味がある)を通せないことを実験で確認することができました。簡易懸濁法においては、安易に錠剤から細粒剤や散剤への変更をすることは服用を困難にさせることになることを確認しました。

私の経験では、錠剤を粉砕して欲しいという処方の場合、錠剤の嚥下が難しくなってきて、トロミをつけて飲み込むためというケースが多いので、味や粉砕による性状の変化を考えれば粉薬を選択できる場合はそれがベターになるケースもあります。しかし、簡易懸濁は経口の服用にも利用できるだろうな、という実感も得ました。

 

これはとある口腔内崩壊錠を懸濁したものです。ふたつのカップには同じ錠剤をいれて懸濁しました。

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右と左の違いは水の温度です、左は熱湯に近い温度の水で、右は常温に近いかなりぬるい水です。低温の方はうまく懸濁できていますが、左の高温で懸濁しようとしたものは凝固して沈殿してしまっています。これは錠剤の崩壊後に薬の主成分をコーティングしている添加剤が高温で溶けて固まってしまうためとのことです。OD錠の懸濁服用は簡単だと思っていたので目からうろこです。熱湯でなくても、通常の簡易懸濁法の水温の55℃でも起きる可能性があるそうですから知っておかねばなりません。

 

これは錠剤は青いレボドパ・カルビドパ配合錠を懸濁したものです。左のカップには、もう一種類とある錠剤も後からいれて懸濁してあります。

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想像はできるかと思いますが、後から入れた錠剤は酸化マグネシウムの錠剤です。薬剤は配合変化がおきたことで失効してしまいます。レボドパはアルカリ性下で酸化分解が促進されるため、酸化マグネシウムと混合すると効果が低下します。しかし、胃の中では胃酸で中和されるのでアルカリ性下に置かれることなく、内服で服用する場合はそんなに起きない現象だそうです。服用経路による配慮は当然しなければならくて、粉砕にも注意が必要で、また一包化調剤も気をつけなくてはならないと肝に銘じます。

 

衝撃! ある薬剤を懸濁して放置しておいたカップ(ポリスチレン性)が溶けてしまいました!

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この薬の正体は・・・

まあ研修に出た人にきいてください( ? _ ? )

べつに服用するのに危険なわけではありません、配合変化は薬剤の間だけで起こるわけではないのだという勉強をさせていただきました。

 

今回の研修会は内容も質もとても素晴らしいものでした。そして多くの方に参加いただきましたが、その期待に十分応えられる内容だったと思います。

重ね重ね準備から尽力された方々に感謝申し上げます。今後も知識と技能の向上のためにブラッシュアップできる研修会の実施を期待しています。そしてそれを実行していくためには地域の薬剤師個々人の協力が必要なことは言うまでもないと思います。

 

 

高カカオチョコレート1日25gで高血圧、コレステロール値を改善

チョコレートに含まれるカカオポリフェノールに「動脈硬化を防ぐ」「血液をサラサラにする」などの健康効果があること […]

情報源: 高カカオチョコレート1日25gで高血圧、コレステロール値を改善

まあ、この記事も話半分だと思います。

治験?をうけた高血圧群の方々の治療状況にもよるわけで、未治療の高血圧群がチョコレートで血圧のコントロールができてしまう(または高血圧が治ってしまう?)のなら、本気で臨床治験をやるべきでしょう。局地的な事例をもっともな効果としてうたうのは、やはりどうかとは思います。結局砂糖はダメなわけですけれど。

甘くないチョコレートもどうかとも思いますが、甘いチョコの食べ過ぎはやはりやめたほうが良いでしょう。

まあ、でも私はチョコレートの味方ではあるわけですがf^_^;

ストレス抑制効果は、チョコレート好きな人なら実感していますよね、きっと。

ラグビーW杯:ドーピングなし 検査結果が全て陰性

http://mainichi.jp/sports/news/20151202k0000e050227000c.html

一応 薬(薬物)の話題なので(^^;;

オリンピックを前にロシアやかつての共産圏の国のドーピングが話題になったりしていますが、その前におこなわれた世界的スポーツ大会でのおはなしです。

ドーピングが選手の健康を損ねることもありますが、やっぱりずるはかっこ悪いです。

ラグビーW杯大会期間中に日本代表選手の皆さんがピンクのTシャツを着てアンチドーピング運動の啓蒙活動をしていたのが印象的でした。

https://twitter.com/rwc15yoshi15/status/647759267802562560

ややもするとドーピングに手を染めてしまいそうなフィジカルの強度が必要なスポーツであるラグビーですが、だからこそ世界中でフェアにプレイする文化が根付いたのかもしれません。古来このスポーツは対戦相手との交歓が目的であるので、卑怯やずるを忌み嫌う伝統もあるようです。

しかし、ほんの数年前、日本国内では若いラグビー選手のうっかりドーピング(ヒゲを生やしたくてミクロゲンパスタを顔に塗布した)が発覚して選手がペナルティをうけて出場の機会をうばわれることがありました、また大麻が検知されて永久追放になった選手もいました。いずれも日本代表クラスの選手です。これは恥ずべきことでした(ずるをしたいと思ったわけでないにしろ)。

その後、選手や指導者の知識の向上もあったと思いますし、啓蒙活動も徹底されたはずです。選手自らがアンチドーピングに関心を持ち、ドーピングを排除してフェアプレイに徹する運動をしたことは素晴らしいです。

正々堂々と戦うからこそ観ている私たちは感動を得ることができました。

進化を遂げた日本の選手たちの生活態度(使用した競技場や控え室の整理清掃)や広報活動への真摯な参加、競技以外での社会活動(ボランティア活動への参画)などとあわせてフェアプレイ精神があって、そんな人たちの鍛錬した結果で披露した姿なので、素晴らしい感動的な大会になったのでしょう。自分の仕事だけこなせば、それでいいというエゴがあるうちは幸福な結果を得ることはできません。一流のスポーツ選手の姿は、私たちの生き方に示唆を与えてくれます。日本の選手のみならず、フェアであるからこそ、世界の舞台で体を削りながらプレイする世界のスーパースターの姿に人間の価値を見出すことができました。

リンクの記事に出てくる「生体パスポート」とは、選手個人の生体において、バイオマーカーを継続的に記録することにより、禁止薬物の検知が本当にドーピングにあたるのかを精査するもので、たとえばテストステロンの検知がナチュラルなものなのか、ドーピングを意図した摂取によるものなのか判別するものになるようです。選手の負担は大きいのかもしれませんが、選手を守るためにも有効だと思います。選手を守るための技術ならば歓迎したいと思います。

スポーツファーマシストがいるとして、しっかり存在を示して活躍してスポーツの価値を高め、ひいてはスポーツを応援する人たちの喜びに貢献できるのなら、薬剤師も捨てたもんじゃないのですがね( ´ ▽ ` )ノ さあ、どうするか・・・

財政制度分科会(平成27年10月30日開催)資料

情報源: PowerPoint プレゼンテーション – 01.pdf

現行の調剤報酬については 、 診療報酬本体と は別に 、 ゼロベースでの抜本的かつ構造的な見直し が必要とのこと。

キーワードはやはり「かかりつけ薬局」ですか。

かかりつけ薬局の機能評価をきちんとできる仕組みが必要だと思います。努力している薬局・薬剤師が報われることを祈ります。

 

「安定ヨウ素剤事前配布に関わる協力について」申込受付開始

原子力災害対策指針における安定ヨウ素剤配布会の参加申込の受付を開始しました。薬剤師の皆様、是非ご協力をお願いいたしますm(_ _)m

申込期限は11月14日です。

詳細は日立薬剤師会のホームページをご覧ください。会員の皆様には会員のページで依頼詳細を閲覧いただけます。

製薬企業からの医薬品の適正使用等に関するお知らせ | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:医薬品副作用被害救済や稀少病認定薬の研究振興調査などの業務案内。

情報源: 製薬企業からの医薬品の適正使用等に関するお知らせ | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

なにかというと、酸化マグネシウム製剤の話です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151021-00000013-asahi-soci

各紙で報道されていますので反響があると思われます。今までも注意喚起はされていましたので周知のこととは思いますが、安心して服用していただけるように具体的な注意の服薬指導が必要になると思われます。29件の副作用報告は処方量を考えると多い数ではないでしょうが、因果関係を否定できない19件に死亡例が含まれるのならば無視はできないことになるでしょうか。

ラクツロースの適用が拡がれば安心して使える代替薬になるでしょうか、現在でも一部でよく使われるようになりましたが。

処方せんなしで向精神薬など販売、業務停止-群馬の薬局、指導後に販売も (医療介護CBニュース) – Yahoo!ニュース

情報源: 処方せんなしで向精神薬など販売、業務停止-群馬の薬局、指導後に販売も (医療介護CBニュース) – Yahoo!ニュース

群馬県薬務課のサイトでは薬局名も公表されていますし、もう少し詳しい経緯も掲載されています。第三者からの通報ではなく、開設者自らの報告ということになっておりました(発覚の経緯をなんとなく想像してしまいます)。あまりにもお粗末な顛末だと思います。

医薬品の適正な使用の先導を務める自覚があるのなら、ルールを守ることは必然と理解するはずです。濫用が個人の不利益になるから規制されているのであって、例え個人を救う行為のように思えても、手順を踏まないで処方箋医薬品を供与することは見当はずれな奉仕だと思います。おおよそ3000錠弱の向精神薬を含むの販売ですけれども、金儲けのためにやったわけではないだろうとは信じたいと思います。

今日は、生活保護を悪用して多量の向精神薬を転売しているニュースもありました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150930-00000245-sph-sociこの生活保護受給者は複数の病院から重複して処方をうけていたそうです。また薬剤を買い付けている者も薬剤転売の常習者のようです。

薬局・薬剤師が先頭にたってモラルを守らないと薬物の乱用は防げません。それは役割のはずです。明るい社会と子どもたちの未来のために、薬剤師はすべきことをなさなければなりません。

 

日立薬剤師会院外処方せん応需薬局学術講演会

「日立薬剤師会院外処方せん応需薬局学術講演会」という今まで日立薬剤師会の学術委員会がおこなってきた勉強会とは一味違うような、リニューアルされたような勉強会でした。学術委員会の委員長が変わりましたので、新委員長の意気込みが感じられる勉強会でした!今後も期待したいです。

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特別講演は「メトホルミンの適応症例と安全性~他の糖尿病薬との併用も含めて~」でした。小沢眼科内科病院の副院長 水谷正一先生の講演です。小沢眼科内科病院は常勤医が15名いる大病院です。メトホルミンについて復習にもなり、新しい知識も得られる、糖尿病の臨床例も含めた得難い知見が得られた講演でした。水谷先生ありがとうございました。

講演で一番印象に残ったことは水谷先生の長い臨床経験の中で、大昔から重篤なメトホルミンの副作用として知られる乳酸アシドーシスが起きたことはない、というお話でした。リスクの高い患者への投与を避けることはもちろんで、患者の状態をきちんと見守りながらの処方を大切にして来られました。実際に血液検査で乳酸値を測定しても変化が起きたことがなく、項目にいれなくなった経緯があることもお話されていました。もともと乳酸アシドーシスという副作用は10万人に一人起きるかどうかの確立だそうですから、まずは患者さんの体調の変化を知れば大きな障害は起こさずに済みます。

薬剤師としてもメトホルミン服用患者さんが食事がきちんと摂れているか、風邪をひいていないか、下痢が続いていないかなど、気づいたことは医師にフィードバックすべき情報です。また、メトホルミン服用者は過度の飲酒もダメです。過度でない飲酒は日本酒1合、ビール中瓶1本までだそうです(⌒-⌒; )

また、メトホルミンは糖新生を抑えることが主な作用ですが、AMPキナーゼ活性化による作用は糖尿病患者さんの発癌リスクを1/2程度に下げるそうです。もともと糖尿病患者さんは発癌リスクが高い傾向があるそうです。ピオグリタゾンの影響も取り沙汰されて米国では訴訟も起きましたが、結局は薬剤による発癌リスクの上昇は否定されて、糖尿病患者の元々のリスクであることが結論づけられているそうです。(ピオグリタゾンの新規処方はできなくなってしまったそうですが(^^;;) メトホルミンですが、お話をきいているとやはりインスリンを強化するタイプの薬より色々とベネフィットが大きいような印象を受けます。勉強会の最後に大日本住友製薬株式会社茨城支店長のご挨拶をいただきましたが、メトホルミンがもしかしたら抗がん剤になるかもしれないと言ってました。

そうはいっても水谷先生の病院でも今の第一選択はDPP4阻害薬で、肥満がある人や体重増加をきたす人にメトホルミンを処方したり、併用したりすることが多いそうです。メトホルミンとDPP4阻害薬の相性はとても良いそうです。

それから、薬剤師として気になることでは、かつて食後服用だったメトホルミンは今は食前で処方するこが可能になっていて、食前の方がやや効果が高いかもしれないという話がありました。基本的に併用薬とのマッチングで服用法は決めるそうですが、メトホルミンでは特に高用量で食欲の抑制作用があるので、体重減少や血糖上昇の予防に効果がでやすいこともあるそうです。

まとめとしては、メトホルミンは2型糖尿病において、用量依存性に血糖コントロールを改善できる。インスリン抵抗性を改善して体重増加をきたさないので肥満2型糖尿病患者には第一選択になる。そして、動脈硬化性合併症の進展予防効果も報告されている。最近は癌発症抑制効果が注目されている。重篤な副作用の乳酸アシドーシスはリスクをさけることで発症は抑えられる。とのことでした。

 

座長をつとめられた(急遽の代役でしたが)新委員長の小室先生におかれましては、ご苦労様でした、とても立派でした(Good job!)、今後とも宜しくお願いいたしますm(_ _)m

 

健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会審議会資料 |厚生労働省

情報源: 健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会審議会資料 |厚生労働省

ここのPDFファイルの資料に最終的な報告書と意見書があります。

このところ短期間に活発に会議が開かれていましたが、これが最終的な報告書になるのでしょうか。14日の会議では一般用医薬品にについて委員のあいだで意見が割れたような記事も見られましたが詳細は不明です。患者の服薬情報の一元的な管理、在宅など24時間対応、医療機関などとの連携-の3つの機能を備えることが「健康づくり支援薬局」の必須要件の様です。

患者の服薬情報の一元管理などの機能が門前薬局では発揮できないので、いわゆる「かかりつけ薬局」を認定して機能を発揮させようと言っている意見を散見しますが、服薬情報の一元管理の方法に門前薬局と病院の近くじゃない薬局とに違いがあるのでしょうか? それとも認定の「かかりつけ薬局」を指定して、処方をうけた患者を「かかりつけ薬局」に誘導する制度にするつもりなのでしょうか? 認定を受けない薬局はどうなるのでしょうか?

薬局の機能の違いは本来あってはならないと思いますが、厚労省が薬局を区別する目的があまりはっきりしません。「健康づくり支援薬局」も仮称のままですが、あらためて言われなくてもやっていることも多いですし、地域の薬剤師会としてしっかり取り組んでいる内容もあります。

本来の目的に沿った薬局の姿へは、足を前に掻くことでたどり着けるのではないでしょうか、厚労省(委員会)の理想とは違っても。止まったり後戻りをすると、どこにもたどり着けないことは間違いないのではないかと思います。もちろん薬局だけではなく薬剤師各々の問題でもあります。